父 免許証 返納

うちの親父、昭和10年生まれの82才。

自分が物心ついたときから車人間でした。

と言っても別に贅沢な車に乗るわけでも無く、安い車を長くて大事に乗っていましたね。

自分が記憶にある最初の車はなんか茶色いセダン(笑)

今、思えばカローラかなんかだったのかな?

その後は青いスプリンター(トレノ?)のクーペ。
エンジンは1500ccだった記憶。

ちょっと曖昧だけど、TE71でなかった事は確か(うんうん)。

当時、親父の職場は海っぺりにあってね、このスプリンターに飛び石かなんかで、ちょっとした傷が出来たんだけど、それが塩の影響か、あっという間にサビが広がって、ピラーに穴が開いちゃってさぁ。
10cmくらいの(泣)

でもしばらく乗ってたよな〜、そんな状態でも…。

そのあと、買ったのがローレルスピリット
この車、ローレルとは名ばかりのサニー(笑)。
想像して?
サニーのボンネットの先っちょにエラソーなエンブレムがおっ立ってるのよ?
ベンツみたいのが

更に当時、免許取り立ての兄貴の希望でマニュアル。
今考えたら、メチャクチャな車だよね?

自分が免許取った時にもまだこの車、乗ってたよな〜。
そうそう、車に初めてカセットデッキが付いたのもこの車だったわ。

車の中で好きな音楽が聞けるってすごいこっちゃって本気で感動したよ。

120分テープが絡まって大変だったけど

その後は自分も車を買って、親父の車を運転するって事はほとんどなくなったけど、その後、親父が買った車が、セフィーロ
FFの3ナンバーになったやつね。
親父としては初めての新車の2リッターで、ウッド調パネルのインテリアを見て、

「おお〜、超高級車だな〜。」

って本気で、感動してたよ

(正直、普通だろって俺は笑ってたんだよ。)

その後、体調崩して、仕事も引退。

平成21年に、マーチを購入。

しかもまた安っい、グレードの

この時点で「もう運転やめろよ。」って話はしてたんだけど、聞かないんだよね70代中盤くらいだと。
本人はいたって普通だと思ってて。

ここまでで、5台だけ。約40年で5台だけ。

親父が電車で移動するのなんて、ほとんど最近まで見た事なったし、便利だからって以上の感情を車に、持ってたと思うんだよね。

けど安い車を長く乗り続けてさ。
プチ贅沢に大喜びして。

うちの親父は今、ステージ4の胃がんです。
1月の検査で見つかり、その後、手術。

抗がん剤に負けて、せん妄(早い話がボケ)の症状が出てきた時も、

「俺は車に、乗るんだ、車を持ってこい」って。

夏頃の話だけど、そんときは最悪の状態で、ほぼ寝たきりだったんだよ?

でも、車に、乗って出かけるって。

笑っちゃうよね?

でもホントに車が好きだったんだろうなって思ったよ。
車に乗せたら元気出るかな?って。
車が治療のモチベーションになるかなって?
運転なんかできる訳がないのにね

抗がん剤もやめて、体力とともに頭の方もしっかりしてきました、

医者からも、

「運転はもうだめですよっ!医者として絶対に許可しませんよっ!」

きつく言われ、観念した様子。

つい先日、マーチを処分(売却って言えるほどの金額にはならず)

免許証も警察署に行って返納して来ました。
世間では、老人の交通事故が多発してます。
うちは大きい事故を起こす前に返納してくれて良かったけど、自分自身にも必ず、その時は来る訳で。
素直に将来の自分は諦めきれるかな?
車もハイテクになって事故回避機能なんて着いてるけと、それ、ホントに必要なの?
それでホントに事故が減るかって言ったらちょっと疑問だよ。
過信してるドライバーが増えるだけのような…。

ともあれ、色んな所に連れ回してくれた親父には感謝です。
年齢のせいか、目立ったガンの進行も見受けられず、見た目はガン患者に見えないくらいまで元気になってきました。

もう少し体力が戻ったら田舎の鹿児島に帰って墓参りでもしようや。

そんときは俺と兄貴で運転するから、安心してリヤシートでふんぞり返っててくれや